日本のロータリー100周年ビジョンレポート2020

はじめに

2019 年、国際ロータリーは、「ビジョン声明」と今後5 年間で実行すべき「行動計画」(Action Plan)で構成される新たな「戦略計画」を発表しました。
「ビジョン声明」は2017 年6 月のRI 理事会で決定され、2018 年1 月の国際協議会で正式に発表されました。それは次の100 年に向けて前進していくための新たなビジョンの必要性から生まれたものです。(『戦略計画の最新情報』2016 年4 月より)

ビジョン声明
私たちは、世界で、地域社会で、そして自分自身の中で、持続可能な良い変化を生むために、人びとが手を取り合って行動する世界を目指しています。

Vision Statement
Together, we see a world where people unite and take action to create lasting change – across the globe, in our communities, and in ourselves.

一方「行動計画」は、ビジョンを達成するための2019 年からの5 年間の活動を方向づける4 つの戦略的優先事項が示されています。すなわち、「より大きなインパクトをもたらす」、「参加者の基盤を広げる」、「参加者の積極的なかかわりを促す」、「適応力を高める」の4つです。

「ビジョン声明」では、「持続可能な良い変化を生むために」“to create lasting change”とその「目的地」を表現していますが、“lasting change”が何を意味するか、それを、「世界で、地域社会で、そして自分自身の中で」生むというのはどういうことかは表現されていません。「ビジョン声明」で目指している世界のビジョン(像)は必ずしも明瞭ではないのです。みんなで共に手を取り合って行動しましょう“Together, we unite and take action”と言う個所が強調点なのでしょうが、これだけでは、次の100 年に向けてロータリーが前進してゆくための指針となるビジョン(将来像)は思い描けません。

それは、おそらく「ビジョン声明」という短い声明には「何のために」(For What)あるいは、「なぜ」Why)という問いに対する答え(目的)が表現されていないからではないでしょうか。「行動計画」の4 つの戦略的優先事項についても、同様に行動の拠り所となる「何のために」、「なぜ」という問いを忘れては、海図のない航海に乗り出すようなものです。

私たちロータリアン、そしてロータリークラブには「ビジョン声明」や「行動計画」の内実を、「何のために」という問いを踏まえて、私たち自身が創造してゆく(答えを出してゆく)という大きな課題が投げかけられているのではないでしょうか。
コロナ禍の中、監視社会や分断社会の到来に警鐘を鳴らす識者がいます。市民レベルの協力と連帯が益々重要となってゆく世界で、市民組織の世界的連合体(association)であるロータリーは様々な社会的課題にどのようにリーダーシップを発揮し対応してゆくのか。ロータリーとロータリアンの存在理由、そして社会的価値が試される時です。
本レポートをまとめる最終段階になって、RI の「未来形成委員会」(Shaping Rotary’s Future:SRF)からロータリーの組織構造の大きな変革案が提起されました。本レポートの提言は、SRF から提起されたロータリーの組織構造のあり方も視野に入れ、日本のロータリーのあるべき将来像を描くよう努めました。
日本のロータリーの奉仕の第2 世紀が始まります。2020 年と言う日本のロータリー100 周年を、アフターコロナの新しい時代のロータリー発展の出発点とできるかどうかが、問われています。

日本のロータリー100周年実行委員会
ビジョン策定委員会
第1地域国際ロータリー第2840 地区パストガバナー本田博己
第2地域国際ロータリー第2620 地区パストガバナー志田洪顯
第3地域国際ロータリー第2680 地区パストガバナー大室㒞

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